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北米最高峰デナリ(マッキンリー、6194m)単独登頂記

2013年6月7日-15日
所要期間:8日間(登高5、停滞2(強風の為)、下降1)
ルート:ウエストバットレス(ノーマルルート)



P6140486.jpg
2013年6月14日午後3時11分 北米大陸最高峰デナリ(マッキンリー、6194m)単独登頂

空の色は青というより紺に近い。

どこまでもどこまでも広がる真っ白い山々。

眼下には歩いてきたナイフリッジが見える。


嬉しかった。とにかく嬉しかった。
たった1人、頂上で子どものようにはしゃぎまわった。



山頂からの動画。







・6月7日-8日

16時頃LP(2057m)着
LP(2057m)23:40-11000キャンプ(3350m)8:30
約9時間 距離15.5km 標高差1295m

なんだか慌ただしい出発になってしまった。
レンジャーにミーティングの時間を早めてもらい、許可も1日早くしてもらった。
ルートの詳細や注意事項を聞き、Sheldon airに着き「準備できたからいつでも出れるよー」と言ったら、30分後に出発になった。セスナは天候次第なので、すぐに買ってきたハンバーガーとポテトを頬張り、着替えたり、水を用意したりする。

セスナからの景色は圧巻。
自分が「自然」というものに対して持っていたレベルが1つあがった気がした。アラスカは限りなくでかい。どこまでも広がる荒野、氷河から流れ出た川、白い峰々、氷河。。

LPに到着。出発は深夜12時。

P6070420.jpg
ハンター山と僕のテント


ソロで登りに来ているザックにロープを結ばないかと言われる。
歩くのは氷河だ。クレバスの危険があるこのエリアで1人で歩くのはキチガイ沙汰だ。
クレバスというのは、縦にも横にもあいているし、トレースがあろうが落ちるときは落ちる。いつどこで落ちるかは誰にもわからないのだ。安全面を考えたら、ロープを結ぶべきだろう。

しかし、あくまでも僕は、単独で来ている。何人もの人が歩き、トレースがしっかり残っていて、Fixロープが張られていてもだ。はっきり言って今回の山行は単独とは呼べないが、できる限り自分の力で登ってみたいのだ。こういう状況はウエストバットレスを取った時点でしょうがないことなのだ。こういう状況が嫌ならウエストリブやカシンリッジを登ればいい。しかし、今の僕にその実力も経験も足りない。なので、このウエストバットレスというルートで限りなく自分の力で登ってみたいのだ。ってなことを説明しようとしたけど、俺は1人で登りたいって言ったらすぐに納得してくれた。

ザックは、ウエストバットレスを登り、メスナークーロワールをスキーで下るらしい。めっちゃ羨ましい。俺のこのレンタルの細いスキーじゃ無理だろうなー。

さーて仮眠するか。



深夜23時40分出発。空は白夜のために明るい。
P6080423.jpg

広い氷河上にたった1人歩いている。
叫び出したいような自由だ。ひとり言を言ったり、歌を歌いながら順調に進む。

予定していたキャンプ地に着いて、オートミールを食べる。調子が良いので先に進む。
ここからがめっちゃ長かった。

空腹と眠気でフラフラになりながら、11000キャンプに着く。
すぐにお湯を沸かし、スープとシチューご飯とポカリを溶かしたお湯を飲む。
テントを立て、とりあえず荷物を全部突っ込み、寝袋に入り気を失うように眠りにつく。

暑さで目が覚める。昼間は暑すぎるー。
2日の行程を1日でこれたのはでかい。クレバスが怖いから氷河上には長く滞在したくないのだ。

さて、ここからはクランポン。明日のルートの最終チェックをする。トレースがあると言っても、重い荷物を背負ってるわけだから、慎重に行こう。急登が2つ。どのような状態だろうか。

夕飯を食ってる頃にガスってきた。晴れてくれー。今日も出発は24時前後。




・9日
11000キャンプ(3350m)2:15-14000キャンプ(4300m)7:30
5時間15分 標高差945m


11時頃に起きるが、二度寝し12:45起床。
テントの窓から外を覗く。快晴。すぐに準備をし、スープを食べる。
冷えているが、めちゃくちゃ寒いって感じではない。モーターサイクルヒルを3つほどでかいクレバスを超えて登る。怖い。


空が赤く染まっている。
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フォーレイカーとハンターが見事に見える。
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クランポンを噛ませながら慎重に登っていく。
落ちればクレバス行きだ。

1歩1歩進むごとに、今まで積み重ねてきたものが報われている気がした。
罵声を浴びされながらやった引っ越しの仕事も、30kg担いで歩いたネパールトレッキングも、山小屋でのランニングも、50kgの歩荷トレーニング、雪の中、ペットボトルをつめたザックを背負い走っていた白馬での日々、3ヶ月の登山学校。1つ1つを思い出す毎に、心が燃える。積み重ねてきたものが活力になっている。

いつのまにか、14000だ。テントをはり、お湯を沸かして朝食をとる。

寝たんだか寝てないんだかわからないけど、昼前に起きる。頭痛いなー。いつものことだから、ゆっくり順応しよう。その辺をフラフラ歩く。

Fixラインが張られている氷の斜面は一体どんなのだろう。
アッセンダーは持ってきていない。ロープに頼りたくないからだ。
ただ、このこだわりのために落ちて死んだらバカだと思う。どこまで自分のやり方を貫くか。安全面を考えたら、使うのが普通だ。しかし、これは登山だ。安全面だけ考えたら、山なんて入らずに家にいれば良い。何も危険なことをしたくて山に入っているのではない、俺の場合。危険は嫌だ、あとは自分が納得できるか。自分のやり方と安全、このバランスは難しい。怖いよー。


アラスカサイズのクレバス。深さは1mのこともあれば数百メートルのこともある。
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・10日
14000キャンプ(4300m)-リッジキャンプ(5000mちょっと)-14000キャンプ(4300m)
12:40-17:30


キャンプ地。
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山頂にかかる虹。
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リッジキャンプへ荷上げ。
心配していたfixラインのクライミングは、技術的には問題なかったが、体力だ。息は切れるし、足にきた。

結局は、FIXを使った。
アックスも1つだし、アイススクリューもない。今の自分の状況や実力では使うべきだと判断。

稜線に出たら歩けないほどの強風。残置支店に身体とザックを固定し、穴をほる。
なんとか埋まったけど、心配だ。帰りは、懸垂下降でスイスイ。ロッキンもう一個持ってくれば良かった。

下ってる途中、目の前にクレバス。氷河を歩いていることを忘れてはいけない。

隣のキャンプからソーセージの匂い。食いてー。



・11日
14000キャンプ(4300m)-ハイキャンプ(5245m)


一歩ずつ、ゆっくりゆっくり。体力の充実を感じる。
核心のFIX帯。うまくコツをつかんだので、昨日よりは楽。けど、疲れるー。アッセンダーあったら楽だろうな。

風やカラスに食われてやしないかと心配していたデポも無事。

さて相変わらず風は強いが歩けないほどじゃないな。
さすがに5000m近くなると息が切れる。しかし、ペースは落ちていない。
どんなにゆっくりでも歩き続ければ頂上だ。今は、目の前の一歩一歩に集中しろ。アリになれ。機械になれ。


稜線を歩いていく。
P6110465.jpg

広がる雲海。5000mを超えた地点。
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サングラスはネパールで300円くらいで買った偽物のレイバン。直前に壊れたので、ダクトテープで補強。
P6110463.jpg

どうやら今日は俺が1番最初みたいだ。


ハイキャンプに到着。
テントを設営し、少し登る。風は強いが明日のアタックに備えてこの高度に順応しておかなくては。

豚汁、味噌汁、クラムチャウダーにほうじ茶を500ml。
レンジャーが明日から4日間はとんでもない風が吹くから気を付けてくれと言いにくる。
いいさ、まだ4日目。何日でも待つさ。風よやめ。




・12日

停滞
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6時起床。風が強過ぎる。2度寝。
頭が痛い。水分不足だ。
現実だか夢だかわからない状態で1日過ごす。レンジャーが明日の天気は最悪だと教えてくれる。



・13日

停滞
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テントの周りに積んでいたブロックが頭に当たって起こされる。
朝から異常な強風。テントが風で運ばれた雪で潰されかけてる。極寒の中、シャベルで雪をどかす。テントが潰れて敗退なんて絶対に嫌だ。
明日から3日間、天候が安定するとレンジャーが教えてくれる。ここのレンジャー達、めちゃくちゃ良い人。
1人、日本語がペラペラのネパール人高所登山ガイドがレンジャーにいて、色々と気にかけてくれる。極寒の中、すげえ薄着だし手袋もしていないのに、全然平気そう。やっぱり強いな、ネパールの人たちは。俺も負けてられないな。

最終アタックの準備を入念に行う。
計画は、行って帰ってきて12時間。12時間頑張れば行って帰ってこれるのだ。何度も何度もルート図を見直す。

午後から風が止む。現在は夜の9時。めちゃくちゃ寒い。さすがはアラスカ山脈5000m地点。半端じゃない。持っているものを全て着込む。

オートミール、クラムチャウダー、お茶の夕食をとる。
あとは身体を休めるだけだ。やるぞ。明日は。絶対に登頂してやる。




・14-15日
10:50-16:50(登り4時間20分、下り1時間20分)

9:30起床。天候はこれ以上は望めないほど最高だ。
全ての準備を整えて11時に出発。
心臓が高鳴る。ようやく登頂日だ。

5グループほどが既にデナリパスに取り付いている。

雪の状態は最高。
風で叩かれた斜面が太陽が当たりほどよく柔らかくなってきているので、アイゼンの刃がよく刺さる。呼吸も順調。強風に閉じ込められた2日間は、外に出て行動すると「ここ本当に5000mかよ」と思うほど、呼吸が苦しかった。寒さや風が実際の標高より高く感じさせるというのは、本当だな。

1時間少しで大トラバース「デナリパス」を抜ける。2時間半かかると見てたから早い早い。

ここからは40度ほどの斜面を越えてフットボールフィールドを目指す。
ここで全てのグループを抜いてトップになった。


積み重ねてきたことが思い出される。それに我慢してきたこと、捨ててきたもの。
それは、大切な人との時間だったりもした。失くしたもの。
本当はもっと友達や大切な人となんてことない話しをしながら飯でも食いたかったさ。
目指すものがあるから我慢できる。目指すものがあるから我慢ではないと自分に言い聞かせてきた。
けど俺も本当は行きたかったのだ。今更、そんなことを言ってもしょうがないことを考えている。
なんで今になってこんな事を思い出すのだろうってことを考えている。
いいさ、俺が今ここにいるってのが全てだ。
そういうもの全てをひっくるめて登る。
純粋な登山欲も名声や虚栄心も何んだって良い、それが力になるなら全てを込めて登るさ。食い物のことも暖かいベッドのことも家族、友達、彼女、嫌なやつのことも、最悪の思い出も何を考えようが足が前に出るならそれで良いのだ。

頂上へと続く最後の稜線を臨む。あと少しだ。
体調はびっくりするほど最高。高度の影響もまだない。

最後の急登を越えて、稜線に出る。ここがヤムナスカ登山学校でアルパインロックを教えてくれたガイドのデロは、娘の名前に「マッキンリー」とつけるほどに感動した稜線か。
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きれいな稜線だ。真っ白で、周りの紺碧の空に溶け込む。
空が底なしに青い。青というよりも紺に近い。一
歩一歩進んでいく。僕の周り全てに真っ白い山々がある。

景色を楽しむのは頂上に着いてからだと目の前の一歩一歩に集中する。


紺碧の空。白い山々。

眼下には歩いてきたナイフリッジが見える。


嬉しかった。とにかく嬉しかった。
たった1人、頂上で子どものようにはしゃぎまわった。



2013年6月14日午後3時11分 北米大陸最高峰デナリ(マッキンリー、6194m)単独登頂
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頂上からの景色
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さて下山だ。
超興奮状態。身体が動く動く。走るようにして降りた。
4時間20分かけた道を1時間20分で下る。
結局、往復で5時間40分しかかかってない。平均的なタイムの半分だ。


最終キャンプに着き、水とチョコバーを食べる。
現在は16時50分。
これから仮眠して最初のキャンプ地まで下ろうと決める。最終キャンプ、頂上アタックの合わせて4日間、高度の影響でろくな物を食べれていない。早く降りて、ハンバーガーを、フィッシュ&チップスを食べたい。

目をつむるが眠れない。何度も写真を見返す。
寝てなくてもいいさ、横になってれば少しは回復するさ。あと8時間下れば、ハンバーガーだ。


22時頃テントを撤収していると他のグループの人たちが続々と降りてくる。
年は父親と同じくらいだろうか。ヘロヘロだが、すごく嬉しそうだ。
「おめでとう、おめでとう」と言って駆け寄る。
頑張っている姿というのは本当に美しい。
老若男女問わず、何かに必死に挑戦し、やり遂げたときの顔というのは何て美しいのだ。


さて、下降開始。
レンジャーにあいさつ。

空は夕暮れ。黙々と下る。
ハンバーガー、フィッシュ&チップスを食べたい一心で下る。
時々、泣き言を言ったり自分を鼓舞しながら進む。
エナジージェルを飲んでは進む。ザックが重いなー。しかし、強くなった。身体の底から力が湧いてくる。

スキーをデポしたところまでくる。ここからはスキーだ。16km近くを一気に下る。
短く、登山靴仕様のビンディングだから滑りづらい。斜面はガチガチだ。何回か転ぶ。

ただ最高に気持ち良い。だだっぴろい氷河を下る。
もちろん周りには誰もいない。

下部の氷河帯にさしかかると、登ってきたときとは全く違うくらいに化け物級のクレバスがそこら中に空いている。怖い怖い。

あと2kmくらいで太ももが痙攣して動かなくなったので休憩。ちょっと無理しすぎたか。まあ、あと少しだ。





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後ろを振り返るとデナリの姿が。あそこにいたのか。
「つい半日前までお前はあそこにいたのだぞ」と自分に言ってみる。
やっぱりここから見てもめちゃくちゃでかいや。



最終キャンプから最初のキャンプまで標高差3000mちょっと、距離20数キロを7時間半で降りてきた。
最初のキャンプ地に着いたときは、極度の疲労の為か、いくら着込んでも寒くて吐き気もすごかったが、頭だけは異常に興奮していた。
あー腹減ったー。




終わりに

応援や心配してくれた皆さん、本当にありがとうございました。
1人1人からのメッセージが本当に嬉しく、力になりました。


来年は、ペルーのブランカ山群でのアルパインクライミングとスキー滑降を予定しています。


また、この時期のウエストバットレス(ノーマルルート)は入山者が多く、トレースもしっかりついており、厳密な意味での「単独登山」ではないが、登っている際中は、全てトップだったこと(前に他の登山者がいない)、1人で登ったことに対する他の表現がないので僕の場合は「単独登山」と表記しました。

デナリの単独登山のことで聞きたいことがありましたら、いつでも誰でも連絡下さい。力になれると思います。
連絡は、僕のブログのプロフィールからできると思います。

青山 雄飛

2013年6月18日 陽の沈まないアラスカより
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コメント


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青山君、デナリ登頂おめでとう!!

無事生きて降りてきた来た、100点満点でしょう。
もちろん、スタイルの点で青山君的には、100点満点の山行では無かったかもしれませんが、すばらしい成果です。

また是非、家の壁を登りに来てください。そのときはギャフンと言わせてあげますから。

やっぱりイルカは泳いで太平洋を帰ってくるのかなぁ?

帰ったら連絡ください!!

枯木 | URL | 2013-06-19(Wed)17:18 [編集]


仕事中

仕事中に気になって読みはじめたらとまらなくなったよ。山の臨場感が伝わってきて、自分が会社にいることを忘れてしまった!!

とりあえず上司に怒られたから責任とれ!笑

坂田 | URL | 2013-06-21(Fri)13:19 [編集]


デナリ

訪問ありがとうございます。
デナリに登頂されたそうですね。
丁度あの頃は天候が安定していて、
登頂としてはベストシーズンだったと思います。

今年はデナリー登頂100周年ですが、
それは6月7日でした。
6月中旬からずっと雨が続いています。
お陰で登頂も難しいようです。

毎日デナリを見るのが私の日課ですが、
この3週間毎日見れなくて残念です。
次見れるのは何時になるやら、、、。

気をつけて日本にお帰り下さい。

takechan0312 | URL | 2013-07-09(Tue)01:35 [編集]


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このコメントは管理者の承認待ちです

| | 2016-07-23(Sat)19:46 [編集]


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